Artwork Details
Medium:アナログ・ミクストメディア(アルミペン、筆、青い薄葉紙のコラージュ)
Subject:ランウェイのフィナーレで横一列に並ぶモデルたちの群像
Theme:ファッションショーの熱気、三次元の身体感覚、服を纏うという生きる挑戦
Artist:Visual Story Artist Kazue Shima
The Story
ランウェイのフィナーレは、モデルがラストルックのまま一列になって歩く、というスタイルが多くなったが、昔は横にずらりと並び立つエンディングがほとんどだったと思う。
縦一列に歩くようになった理由は、服そのものの流れ、カッティングやフォルムをクールに見せる演出のほうが好まれている、ということなのだろうし、スマホやライブ配信というメディアの形を考えると、止まっている横並びのスタイルよりも、縦に動いているほうがライブ感、スピード感が出るのだろう。
もちろんスマートであるし、服の一つ一つの形も技術もわかりやすいかもしれない。しかし、横一列のフィナーレには、縦に歩いていく方法には絶対にない、一枚の群像画としての圧倒的なドラマがあると思う。
ステージに立っている私たちはそのストーリー性を身体で感じていて、縦に歩いていくスタイルと横一列の時とでは、観客の目や会場の空気は全く違う。実際にステージにいるととてもよくわかるのだ。
大きなメゾンでなくても、一つのコレクションで大体50くらいのスタイルは出すだろう。1stルックから始まり、時間をかけて一点ずつ発表される少し先の服の姿に釘付けになっていく。
そして最後にそのコレクション全体が横一列にステージにグラデーションになって、改めてそのコレクションの世界を再確認する。
モデルが歩いて過ぎて行ってしまうスタイルに比べ、ゆっくりとその流れを全体で見れるのだ。
それは今の時代、過剰なグラマラスさの演出といえるのかもしれない。
でもコレクション会場に足を運ぶ人たちは、ドラマを見たいのではないだろうか。
なにより、あの横一列にマヌカンがずらりと並んだ中央に、この美しい次のシーズンの装いを作り上げたデザイナーを会場全体で讃える、イベント最後の花道なのだ。
自分の両隣のモデルの熱気、最新の発表に、そのストーリーに興奮している観客。
その瞬間、その場所で私が確かに世界から受け取ることのできた大切な真実は、やはりこの形でなければありえなかった。
Materiality & Context
手元の青い薄葉紙をガサガサと触ってみて、横に並んだ物語を想像してみる。まるで深海の波のようだったり、ブルーサファイアの幾重にも重なった輝きだったり、と色の世界は私の中で無限に広がってゆく。
紙という素材に更に表情が必要な場合、筆で描き添えていくクリエイションは、私にとって一つのステージを作りあげるような興奮に浸ることができる。
そしてアルミペンで、一気にステージに登場させるモデルたちのラフラインに、手でちぎったこの青を散りばめていく。その際、青の濃淡が重なることで、そこにバランスや奥行きなどの意味が出てくるのだけど、あえて確実な距離感であるとか整いすぎるバランスを頭で考えることはしない。
二次元での表現は、とても危うい。服というものが動くことで、360度からどう見えるのかが瞬間的に変わっていくことを身体が知っている。動いていることで生まれる濃淡の重なりやバランスは、変動的なのだ。
だから、紙を重ねていく時、頭の中は三次元の状態になって、その時の感覚に任せることが一番私の中ではしっくりとくる。
こんな青が重なっている物語をどうやって人は受け取るのか、どう受け取ってほしいのか、と考えると、——人が服を着るということは、生きてゆくことへの挑戦と夢を纏うことだとわかる。

