アルミペンの墨線と赤い薄葉紙のコラージュによる、ファッションイラスト。Kazue Shimaによるアナログミクストメディア作品。

赤いドレスをまとう女性:墨とコラージュが織りなす物質性

Artwork Details

Medium: アナログ・ミクストメディア(自作のアルミペン、墨、薄葉紙のコラージュ)

Subject: 赤い薄葉紙のドレスを纏う女性

Theme: 激情と静寂の共存、素材から立ち上がる衣服のフォルム

Artist: Visual Story Artist Kazue Shima

The Story

最初から服を描こうとしていたわけではない。

赤い薄葉紙を手にしたその日は、ただそこに黒い筆を走らせたい、と思った。

墨が紙に乗った瞬間、湧いてきた感情は、悲しさでも寂しさでもない。静かだけれど、激しいもの。どんな形になるのか、全く想像できないまま筆はそのまま走り続ける。
一通り描き終わった頃に、ああ、これは服だ。私の感情が乗った服なんだ。このまま紙の保存ファイルにしまっておくのはやめよう、と。

アルミペンで線を描き始めると、思いの外、静かなポーズの人が出てきた。でも表情には、静かだけれど、激しさのあるその感情がそのまま出た。

こんな感情に任せた制作に驚いてしまった日。

Materiality & Context

いつもは複数の色を紙に乗せることが多いのだが、この日は最初から黒だけ、と決めてしまい、赤い薄葉紙に、筆で墨を走らせることから始まった作品です。
薄葉紙は私が筆で模様を描き、手でちぎったオリジナルの素材。透ける質感が墨の黒を吸収し、赤と黒が重なることで、一定のリズムが紙に乗ります。

その時点で紙は平坦だけれど、ボディラインにしっかりとドレスの形にしようと決め、薄くてしなった赤い紙をシワをつけながら形にしていきます。

モデル時代に、デザイナーが目の前で立体カッティングをしている様子、一枚の布をピンだけで服にしていく様子を何度も見ました。私のこの制作は二次元だけれど、まるで彼らの魔法の手を持ったように、完全に服の形にしてみたかったのです。

赤と黒が対峙するようなテキスタイルは、歌舞伎の隈取のようなイメージから始まりました。赤は激情と生命力を、黒はその輪郭を定める力を表します。この作品の構造はそれに近い。赤が感情として先にあり、黒がその後を追う。

アルミペンはアルミ板を折って作った自作の描画素材です。市販のペンでは出せない、墨の滲みと引っかかりを持つ線が、この人物の静かな激しさを輪郭として定めています。

私のBrushシリーズは、素材が先に感情を持つことがある。この作品はその一例です。

前の投稿
紙の向こうに見えるもの
次の投稿
ランウェイのフィナーレ:青い薄葉紙のコラージュが描く群像のドラマ
keyboard_arrow_up