「少年よ、大志をいだけ」という言葉が好きだ。
有名な格言なので、学校でも教えられた。
けれど、「大志をいだく」とは、いったい何なのだろう。
子どもの頃、そんなことを考えた記憶がある。
少年がいだく大志。
それはきっと、映画やテレビで見た美しいものなのだと思う。
いつになったら手に届くのか、
どうしたら手に入るのか、
そんなことを想像しながら。
大志は、大統領になることでも、国民的ヒーローになることでもなく、
美しいドレスを着た大人の女性が、静かに隣にいる光景なのかもしれない。
そんなことを考えながら、
特に完成図を決めることもなく、なんとなく鉛筆で描き始めた。

描き進める途中で、
少年の手に、赤い花を一輪持たせようと思った。
道ばたに咲いていたかもしれない花だ。
花を持たせたのも思いつきだし、色も決めていなかったが
花を描いてみたら、色は迷いなく赤だった。
赤い花が、この絵の中で語りたいことを、
代わりに伝えてくれる気がしたからだ。
その花は、大志をいだく彼の大きな武器になるのかもしれないし、
ただ、いつか誰かに受け取ってもらうために
持っているだけなのかもしれない。

