Artwork Details
Medium:デジタルファッションイラストレーション
Subject:ショートヘアで黒いドレスを纏う女性の後ろ姿
Theme:背中が語る主張と未来、360度の視座による美しさ
Artist:Visual Story Artist Kazue Shima
The Story
彼女は知っていた。どんなに美しく見えただろうか、と。
彼が息を詰まらせるように立ちすくんだ気配も感じ、そして彼の足が止まった音も確かに聞いていた。余計な装飾のない、ドレスの背のラインはこの角度以外に正解はないこともわかっていた。
問題は、この背をいつ彼に見せるか。決してタイミングを間違ってはならない。
あまりに絶妙な瞬間にコートを脱ぐことになったので、顔を見られないですんだのだ。もし対面していたら、きっと思惑の匂いを嗅ぎつけられることになったはず。しかし、そのショータイムに至るまでに、彼の多少の苛立ちも感じたけれど、この姿を見せればおそらく潮が引くように静まる。その引いていく潮の音さえ彼女には心地よく響いたのだから。
黒をまとった背中は、世の中の何よりも強力な景色だ。それは主張であり、要求であり、未来でもある。このねじ伏せるような美しさは『Footnotes of Dialogue』裏表紙に在る。
Materiality & Context
フォルムとしては、とてもシンプル。そしてこの絵には2色しか使っていません。
人の肌の色とドレスの黒、だけです。これは意図して2色に抑えました。
ヘアスタイルもショートです。ボディラインやドレスのバックラインを隠すようなものが何もないように。
自分の姿を意識する時の角度は360度で判断するのは、ファッションショーのモデルという経験からで、女性は後ろ姿の一番美しい「場所」を知っています。
それは、シーン、見せる人、気持ち——全てそれぞれの要素によって少しずつ手の位置だったり、首の角度だったり、全てを知り尽くしています。

